山梨県が挑むオープンイノベーションとは?関連団体・参加企業の生の声
オープンイノベーションとは、他社と連携しながら新しい知識や技術を取り入れて行う技術革新を指します。山梨県では、さまざまな企業がホスト企業となりオープンイノベーションに取り組んでいます。
ここでは、山梨県のオープンイノベーションにかかわるホスト企業の声や目標を紹介します。
山梨県でのオープンイノベーションの魅力は?
オープンイノベーションとは、他社の知識や技術を取り入れ、新しい事業の創造を目指す方法です。自社だけで研究・製品開発、技術改革などをする構造から脱却し、自社と他社がもつそれぞれの専門分野の知識や技術を流出入させます。
自社だけで開発を進める「クローズドイノベーション」は内部組織だけで開発チームが構成されるため、閉鎖的な環境になるのがデメリットです。オープンイノベーションによってスタートアップとの共創に取り組むと、新たな発想やアイデアを得られる可能性が高まり、新規事業の立ち上げや事業成長の機会にもなります。
山梨県には、スタートアップとのオープンイノベーションを目指す中小企業も多く、アイデアの実現や販路の拡大を目指すスタートアップにとっても、さまざまな魅力があります。
商品・サービスの革新や企業間での啓発・連携を目指す山梨県の企業で構成される一般社団法人山梨県ニュービジネス協議会(YNBC)の清水会長や金丸副会長は、山梨県でオープンイノベーションに取り組むメリットとして、企業や人々がコンパクトに集積され、新しい取り組みに対する協力が得られやすい点を挙げます。
山梨県は県土のほとんどを自然が占めており、必然的に人々の距離が非常に近くなりやすい土地です。また、新しいものが好きな人も多いため、スタートアップ企業が取り組む新しい試みに対する協力者も見つけやすい点が特徴です。
さらに山梨県は東京からも近く、リニア中央新幹線の開通によって首都圏との時間的な距離もさらに近づきます。オープンイノベーションを通して新しい挑戦をしたい企業にとって、ちょうど良い場所が山梨県であると言えるでしょう。
YNBCでは、会員企業(約200社)とスタートアップ企業とのオープンイノベーションに積極的に取り組んでいます。このようなオープンイノベーションを進める団体が存在することも魅力です。
2.オープンイノベーションに参加する企業の声
2-1.株式会社山梨放送
株式会社山梨放送は、ラジオやテレビの放送事業を行う企業です。メディアを取り巻く環境が日々移り変わる中、地域に根差すローカルメディアとしての将来性を高めるため、オープンイノベーションに参加しています。
山梨放送がスタートアップ企業と取り組みたいテーマとして掲げるのは下記の3つです。
・地場農産品のブランディング
・山梨県の観光資源の魅力を引き出す
山梨放送の小林氏は、メディアの役割として「青少年育成」を挙げます。特に今回は、食育サポートに力を入れたいと考えており、学校給食を通じた取り組みを検討されています。また、観光立県である山梨県の観光地や特産物などの魅力を伝え広めるブランディングについても、映像制作以外のノウハウを得ながら取り組んでいくことを目標としています。
山梨放送はテーマ実現のために、自社の映像制作技術や設備のほか、「山日YBSグループ」と呼ばれる総合情報メディアグループのネットワークも活用可能としています。地域の活性化につながるような新たな発想をスタートアップ企業と生み出し、新しい価値の想像を目指します。
2-2.株式会社内藤ハウス
株式会社内藤ハウスは、プレハブ・システム建築や自走式立体駐車場などの建設事業を行う企業です。自社の建築技術や工場、13拠点のネットワークを活用可能とし、特に物流倉庫内の作業に関する下記の3つに取り組みたいと考えています。
・在庫管理の自動化・省人化
・搬入搬出をしやすくする収納ラック・レイアウトの提案
プログラムの窓口を担当している島村氏は、自身がスタートアップ企業と関わった経験から、最先端の技術を持つスタートアップと自社が培ってきたノウハウをかけ合わせることで、新しい価値が生まれるのではないかと期待しています。
株式会社内藤ハウスは、物流業界の人手不足解消を課題とし、未来ある社会形成への貢献を目指しています。そのために、スタートアップ企業との共創によって建設事業に新たな価値を付加するのが目標です。
2-3.株式会社メイコー
自社がもつ真空技術を活用することで、フードロス削減に取り組めるのではないかと考えたのが、オープンイノベーションに参加したきっかけです。とはいえ、食品分野への知見が少ないことから、スタートアップと協力しながらさまざまな分野での新ビジネスを創出したいと考えています。
フードロス削減の実現に向けて、メイコーがもつ真空技術にくわえ、乾燥や酸化防止技術、国内最大級のクリーンルームなどを活用できます。取締役の大久保氏もオープンイノベーションに関わっていることから、意思決定をすばやく行い、スタートアップと力を合わせられる環境を整えています。
2-4.株式会社アルプス
代表の金丸氏は、「小売業界に対しては一定のノウハウがあるものの、飲食分野においてはまだまだこれからだ」と語ります。山梨初・日本初となって、業界において大きなインパクトとなることを目標としており、オープンイノベーションによってともに新しい価値の提供を目指しています。
課題解決と目標の実現に向けては、自社が運営する飲食店や食堂を活用可能である他、オープンイノベーションでは社長自身が窓口として関わることになっています。株式会社アルプスはスタートアップ企業との素早い連携による新たな事業展開に力を入れている企業です。
まとめ
山梨県が主導して行うオープンイノベーションでは、地域に根付いた複数の企業がホスト企業として参加しています。それぞれのホスト企業の具体的な目標は異なりますが、現在自社がもつノウハウを別の分野で生かすために、新しい発想や技術を求めていることは共通しています。
企業間や人同士の関わりが深く、新しい挑戦に日々挑み続ける方が多い山梨県での事業拡大をぜひ検討してみてください。